施行規則第19条の21(支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者)
第十九条の二十一 法第十九条の二十六第一項第十四号の法務省令で定める者は、次の各号のいずれかに該当する者とする。
一 過去一年間に、登録支援機関になろうとする者において、その者の責めに帰すべき事由により外国人の行方不明者を発生させている者
登録支援機関が外国人について自らの責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させている場合には,当該機関の支援体制が十分であるとはいえないことから,過去1年間に行方不明者を発生させていないことが条件となります。
「外国人」とは,次に該当する者をいいます。
- 支援を行っている1号特定技能外国人
- 監理団体として実習監理している技能実習生
- 雇用している特定技能外国人及び技能実習生
「責めに帰すべき事由」があるとは,登録支援機関が1号特定技能外国人支援計画を適正に実施しない場合や技能実習制度の法令違反や基準に適合しない行為が行われていた期間内に,特定技能外国人の行方不明者を発生させたような場合をいい,行方不明者の人数にかかわらず,行方不明者を1人でも発生させていた場合には,本基準に適合しないこととなります。
登録支援機関が,技能実習制度における実習実施者又は監理団体(技能実習法施行前の実習実施機関又は監理団体を含む。)として,雇用又は実習監理した技能実習生について責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させた場合にも,本基準に適合しないこととなります。
登録支援機関は,1号特定技能外国人支援計画を適正に実施するとともに,特定技能外国人からの相談に真摯に応じ,当該外国人の安定した生活・就労が確保されるよう適切な対応を行うなどし,外国人の行方不明の発生防止に努めなければなりません。
二 登録支援機関になろうとする者において、役員又は職員の中から、支援責任者及び支援業務を行う事務所ごとに一名以上の支援担当者(支援責任者が兼ねることができる。)が選任されていない者
登録支援機関になろうとする者において,役員又は職員の中から支援責任者及び支援業務を行う事務所ごとに1名以上の支援担当者が選任されていなければなりません。
支援責任者が支援担当者を兼ねることできますが,その場合には,支援担当者として支援業務を行う事務所に所属しなければなりません。
「支援責任者」とは,登録支援機関の役員又は職員(常勤であることを問わない。)であり,支援担当者を監督する立場にある者をいいます。
具体的には,次の事項について統括管理することが求められます。
- 支援担当者その他支援業務に従事する職員の管理に関すること
- 支援の進捗状況の確認に関すること ・支援状況の届出に関すること
- 支援状況に関する帳簿の作成及び保管に関すること
- 特定技能所属機関との連絡調整に関すること
- 制度所管省庁,業所管省庁その他関係機関との連絡調整に関すること
- その他支援に必要な一切の事項に関すること
「支援担当者」とは,登録支援機関の役員又は職員であり,1号特定技能外国人支援計画に沿った支援を行うことを任務とする者をいい,この役職員は常勤であることが望まれます。
「支援業務を行う事務所ごとに1名以上の支援担当者を選任」とは,登録支援機関の支援業務を行う事務所に所属する者の中から少なくとも1名以上の支援担当者を選任することをいい,支援委託契約を締結する特定技能所属機関ごとに支援担当者を1名選任しなければならないものではありません。
支援責任者が支援担当者を兼ねることも可能ですが,その場合であっても,双方の基準に適合しなければなりません。
支援担当者が複数の1号特定技能外国人の支援を行うことも可能です
三 次のいずれにも該当しない者
登録支援機関になろうとする者は,次のいずれかに該当しなければなりません。
「支援責任者」とは,登録支援機関の役員又は職員(常勤であることを問わない。)であり,支援担当者を監督する立場にある者をいいます。具体的には,次の事項について統括管理することが求められます。
- 支援担当者その他支援業務に従事する職員の管理に関すること
- 支援の進捗状況の確認に関すること ・支援状況の届出に関すること
- 支援状況に関する帳簿の作成及び保管に関すること
- 特定技能所属機関との連絡調整に関すること
- 制度所管省庁,業所管省庁その他関係機関との連絡調整に関すること
- その他支援に必要な一切の事項に関すること
「支援担当者」とは,登録支援機関の役員又は職員であり,1号特定技能外国人支援計画に沿った支援を行うことを任務とする者をいい,この役職員は常勤であることが望まれます
イ 登録支援機関になろうとする者が、過去二年間に法別表第一の一の表、二の表及び五の表の上欄の在留資格(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことができる在留資格に限る。ハにおいて同じ。)をもつて在留する中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行つた実績がある者であること
過去2年間に中長期在留者(別表第1の1の表、2の表及び5の表の上覧の在留資格で在留する外国人)の受入れ又は管理を適正に行った実績がある者
「中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った」とは,少なくとも1名以上,法別表第1の1の表,2の表及び5の表の上欄の在留資格(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことができる在留資格に限る。)をもって在留する中長期在留者の受入れ又は管理を行っており,その間,入管法,技能実習法及び労働関係法令といった,外国人の受入れ又は管理に関連する法令の規定を遵守していることをいいます。
例えば,雇用する中長期在留者に対して賃金の不払がある場合や,雇用契約の不履行に関し違約金契約を締結している場合などは,入管法及び労働関係法令の規定を遵守しているとは認められません。
また,登録支援機関となろうとする者が,技能実習制度における監理団体である場合は,技能実習法第36条に規定する「改善命令」及び旧技能実習制度における「改善指導」(旧上陸基準省令の技能実習1号イの基準第18号の表イからヨまでのいずれか,又は,技能実習1号ロの基準第16号の表イからソまでのいずれかに該当するものに限る。)を受けている場合は,技能実習法の規定を遵守しているとは認められません。
ロ 登録支援機関になろうとする者が、過去二年間に報酬を得る目的で業として本邦に在留する外国人に関する各種の相談業務に従事した経験を有する者であること
過去2年間に報酬を得る目的で業として本邦に在留する外国人に関する各種の相談業務に従事した経験を有する者
「各種の相談業務に従事した経験」とは,在留外国人に対する法律,労働又は社会保険に関する相談若しくは官公署に提出する書類の作成や手続に関する相談をいい,相談内容や件数を限定するものではありません。これは,「報酬を得る目的で業として」行われることが必要であり,無償で行った相談業務及び業務として行わない,いわゆるボランティア活動としての相談は,経験には含まれません
ハ 登録支援機関になろうとする者において選任された支援責任者及び支援担当者が、過去五年間に二年以上法別表第一の一の表、二の表及び五の表の上欄の在留資格をもつて在留する中長期在留者の生活相談業務に従事した一定の経験を有する者であること
選任された支援責任者及び支援担当者が,過去5年間に2年以上中長期在留者(別表第1の1の表、2の表及び5の表の上覧の在留資格で在留する外国人)の生活相談業務に従事した一定の経験を有する者であること
「生活相談業務に従事した一定の経験」とは,中長期在留者の生活に関する相談業務一般をいい,相談内容や件数を限定するものではありません。ただし,業務として行われたことが必要であることから,いわゆるボランティアとして行った生活相談については,実績に含まれません。職業紹介事業者が,外国人労働者に求人情報を紹介する行為のみをもって,「各種の相談業務に従事した経験」があるとはいえません。
ニ イからハまでに掲げるもののほか、登録支援機関になろうとする者が、これらの者と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として出入国在留管理庁長官が認めるものであること
イからハに該当する者と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として出入国在留管理庁長官が認めるもの
「これらの者と同程度に支援業務を適正に実施することができる者」とは,第3号イからハまでに該当しない場合であっても,中長期在留者の適正な受入れ実績等がある機関と同程度に支援業務を適正に実施することができる者であり,かつ,これまで日本人労働者等を適正かつ適切に雇用してきた実績のある機関であって責任をもって適切に支援を行うことが見込まれるものをいいます。
したがって,労働関係法令を遵守していることが求められることから,労働基準監督署から是正勧告を受けていないことなどが必要です。また,これまでの活動実績や組織体制からも相談対応や情報提供を適切に行うことができると認められるものをいいます。
なお,想定される機関としては,次のものが挙げられます。(これらに該当することをもって当然に認められるものではなく,立証資料に基づいて本基準に適合しているか否かが個別に判断がされることとなります。)
- 業界団体(全国規模で各地に下部組織を有するもの)
- 独立行政法人
- 特殊法人・認可法人
- 日本の国・地方公共団体認可の公益法人
- 特定非営利法人
- 法人税法別表第1に掲げる公共法人
- 日本の証券取引所に上場している企業
- 保険業を営む相互会社 ・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収票合計表の源泉 徴収額が1,500万円以上ある団体・個人
四 情報提供及び相談対応に関し次のいずれかに該当する者
イ 適合一号特定技能外国人支援計画に基づき情報提供すべき事項について、特定技能外国人が十分に理解することができる言語により適切に情報提供する体制を有していない者
特定技能外国人が十分に理解できる言語による適切な情報提供体制
「十分に理解することができる言語」とは,特定技能外国人の母国語には限られませんが,当該外国人が内容を余すことなく理解できるものをいいます。
ロ 特定技能外国人からの相談に係る対応について、担当の職員を確保し、特定技能外国人が十分に理解することができる言語により適切に対応する体制を有していない者
担当職員を確保しての特定技能外国人が十分に理解できる言語による適切な相談体制
「相談に係る対応について,担当の職員を確保し」とは,特定技能外国人が十分に理解できる言語により対応可能な職員が在籍していることのほか,必要な際に委託するなどして通訳人を確保できることなどをいいます。
なお,通訳人を登録支援機関の職員として雇い入れることまでは必要ありません(当該通訳人は,あくまで相談業務の履行補助者です)。
ハ 支援責任者又は支援担当者が特定技能外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していない者
支援責任者又は支援担当者が特定技能外国人及びその監督をする立場にある者との定期的面談体制を有していない者
相談対応は,必ずしも24時間の対応が即時に可能であることまでを求めるものではありませんが,可能な限り,複数の職員を確保して,平日のうち3日以上,土曜・日曜のうち1日以上対応し,相談しやすい就業時間外などにも対応できることが求められます。
詳細についてはこちら
「定期的な面談」とは,支援責任者又は支援担当者が,特定技能外国人及び当該外国人を監督する者それぞれと3か月に1回以上面談を実施できる体制を有していることが求められます。
詳細については,運用要領別冊(支援)を参照してください。
五 支援業務の実施状況に係る文書を作成し、当該支援業務を行う事務所に、当該支援業務に係る支援の対象である特定技能外国人が締結した特定技能雇用契約の終了の日から一年以上備えて置くこととしていない者
登録支援機関に対し,1号特定技能外国人支援計画の実施状況に関する文書を作成し,支援の対象である1号特定技能外国人に係る特定技能雇用契約終了日から1年以上備えて置くことを求めるものです
帳簿とは,少なくとも次の事項が記載されていなければなりません。
@ 支援実施体制に関する管理簿
- 登録支援機関の氏名又は名称,住所,代表者氏名,法人番号,役員の氏名,役職及び住所
- 支援を行う事業所の名称,住所及び連絡先
- 職員数(常勤・非常勤職員数の内訳)
- 支援実績(毎月における支援人数,行方不明者数)
- 支援責任者の身分事項,住所,役職及び経歴(履歴書,就任承諾書)
- 支援担当者の身分事項,住所,役職及び経歴(履歴書,就任承諾書)
- 対応可能な言語及び同言語による相談担当者に関する事項(委託契約書,通訳人名簿)
A 支援の委託契約に関する管理簿
- 受託した支援業務に関する事項(委託契約書)
- 支援経費の収支に関する事項(支援委託費を含む。)
B 支援対象者に関する管理簿
- 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号
- 当該外国人を雇用する特定技能所属機関の氏名又は名称
- 1号特定技能外国人支援計画の内容(支援計画書)
- 支援の開始日
- 支援の終了日(支援を終了した理由を含む。)
C 支援の実施に関する管理簿
@ 事前ガイダンスに関する事項
- 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号
- 実施日時及び実施場所
- 実施内容(情報提供内容)
- 実施方法
- 実施担当者(通訳人含む。)の氏名及び役職
A 出入国時の送迎に関する事項
- 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号
- 出迎え日(上陸日)及び見送り日(出国日)
- 実施担当者の氏名及び役職
B 住居の確保及びその他生活に必要な契約に関する事項
- 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号
- 確保した住居に関する事項(住所,住居の形態(賃貸,社宅等),家賃等)
- 支援した契約に関する事項(契約内容,保証人契約内容)
- 実施担当者の氏名及び役職
C 生活オリエンテーションに関する事項
- 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号
- 実施日時及び実施場所
- 実施内容(情報提供内容)
- 実施方法
- 実施担当者(法的保護に関する情報提供の実施者を含む。)の氏名及び役職
D 関係機関への同行等支援に関する事項
- 一号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号
- 実施日時及び実施場所
- 実施内容
- 実施方法
- 実施担当者の氏名及び役職
E 日本語を学習する機会の提供に関する事項
- 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号
- 実施内容
- 実施方法
- 実施担当者(委託先の講師を含む。)の氏名及び役職
F 相談・苦情対応に関する事項
- 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号
- 相談日時
- 相談内容及び対応内容(面談記録,対応記録)
- 実施担当者(通訳人を含む。)の氏名及び役職
G 日本人との交流促進に関する管理簿
- 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号
- 実施日時及び実施場所
- 実施方法
- 実施担当者の氏名及び役職
H 非自発的離職時における転職支援に関する事項
- 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号
- 転職相談日,実施時間及び実施場所
- 相談内容及び対応内容(面談記録,対応記録)
- 転職先候補企業の名称,所在地,連絡先
- 実施担当者(通訳人含む。)の氏名及び役職
I 定期的な面談の実施に関する管理簿
- 1号特定技能外国人の氏名,生年月日,国籍・地域,性別及び在留カード番号
- 監督者の氏名及び役職
- 面談日時
- 面談内容(法令違反行為を認知した場合の関係行政機関への通報等を含む。)
- 支援責任者及び支援担当者の氏名及び役職
帳簿の保存期間は,支援の対象である特定技能外国人が締結した特定技能雇用契約が終了した日から1年間となります。
支援状況に関し報告又は資料の提出を求められた場合は,これに応じることができるよう帳簿は適正に作成し,保存してください。
なお,報告若しくは資料の提出をせず,又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした場合は,登録の取消しの対象になります。
他の法令で作成・保存が義務付けられている帳簿についても,当該法令の規定にのっとって適切に管理する必要があります。
六 支援責任者又は支援担当者が次のいずれか(支援担当者にあつてはイに限る。)に該当する者
イ 法第十九条の二十六第一項第一号から第十一号までのいずれかに該当する者
支援の適正性を確保するため,支援責任者又は支援担当者が,登録拒否事由(法第19条の26第1項第1号から第11号まで)のいずれかに該当していた場合には,登録支援機関になることはできません。
ロ 特定技能所属機関の役員の配偶者、二親等内の親族その他特定技能所属機関の役員と社会生活において密接な関係を有する者であるにもかかわらず、当該特定技能所属機関から委託を受けた支援業務に係る支援責任者となろうとする者
支援の中立性を確保するため,特定技能所属機関の役員の配偶者や2親等内の親族のほか,特定技能所属機関の役員と社会生活上密接な関係を有する者が支援責任者として選任されている場合は,登録支援機関になることはできません。
ハ 過去五年間に特定技能所属機関の役員又は職員であつた者であるにもかかわらず、当該特定技能所属機関から委託を受けた支援業務に係る支援責任者となろうとする者
過去5年間に特定技能所属機関の役員又は職員であった者を支援責任者として選任している場合についても,登録支援機関となることはできません。
七 一号特定技能外国人支援に要する費用について、直接又は間接に当該外国人に負担させることとしている者
1号特定技能外国人に対する支援(特定技能基準省令第3条に定める「義務的支援」)に要する費用は,1号特定技能外国人に直接的又は間接的にも負担させてはいけません。
「支援に要する費用」とは,1号特定技能外国人に対して行われる各種支援(特定技能基準省令第3条に定める「義務的支援」)に必要となる費用(登録支援機関への委託費用を含む。)をいい,次のものを含みます。
なお,住宅の賃貸料などの実費を必要な限度において本人に負担させることを妨げるものではありません。
- 事前ガイダンス,生活オリエンテーション,相談・苦情対応及び定期的な面談の実施に係る通訳人の通訳費等
- 1号特定技能外国人の出入国時の送迎に要する交通費等
特定技能外国人の受入れに当たっては,1号特定技能外国人支援計画における事前ガイダンスにおいて,支援に要する費用を直接又は間接的に負担させないことについて説明します。また,生活オリエンテーションにおいても,同様に説明します。
八 法第二条の五第五項の契約を締結するに当たり、特定技能所属機関に対し、支援業務に要する費用の額及びその内訳を示すこととしていない者
第2条の5第5項(特定技能雇用において行う登録支援機関との契約)の支援の適正性の確保の観点から,登録支援機関は特定技能所属機関から1号特定技能外国人支援計画の全部の実施の委託を受ける際は,支援業務に要する費用の額及びその内訳を示さなければなりません。
特定技能所属機関から徴収する支援委託費用については,法令上の上限はありませんが,支援委託契約を締結する際に当該費用の額及び内訳を特定技能所属機関に明示しなければなりません。