5条(上陸の拒否)
次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。
ここでは上陸することが出来ない場合(上陸拒否事由)が挙げられています。
以下の場合に1つでも該当する場合は上陸が出来ません。
1 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第104号)に定める1類感染症、2類感染症、新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症(同法第7条の規定に基づき、政令で定めるところにより、同法第19条又は第20条の規定を準用するものに限る。)の患者(同法第8条(同法第7条において準用する場合を含む。)の規定により1類感染症、2類感染症、新型インフルエンザ等感染症又は指定感染症の患者とみなされる者を含む。)又は新感染症の所見がある者
上記のように、人に感染するまたは感染させるような病気に罹っている人は上陸できません。
2 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又はその能力が著しく不十分な者で、本邦におけるその活動又は行動を補助する者として法務省令で定めるものが随伴しないもの
判断能力がないまたは著しく不十分な人は、補助者と共にでなければ上陸できません。
補助者の規定が施行規則第4条にあります。
要随伴者の
「後見人」
「保佐人」
「配偶者」
「親権者」
「扶養義務者等」です。
また、これらの者が以下に該当していてはいけません。
- 要随伴者に対して訴訟をしている(した)者、その配偶者及び直系血族
- 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 成年被後見人、保佐人
- 未成年者
上記の者以外にも、要随伴者の活動等を補助する意思や能力が有る者も補助者となれます。
(ただし、要随伴者の補助を目的として上陸許可の申請をした場合に限られます。)
3 貧困者、放浪者等で生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者
4 日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。
1年以上の懲役または禁錮当の刑を受けた場合は上陸できません。
刑の執行猶予を受けた場合は除くとは書かれていません。
つまり1年以上の懲役または禁錮等の刑が確定した人は執行猶予中または執行猶予が経過しても上陸できません。
日本に滞在する外国人の退去の理由ではありませんので、例えば日本で1年の禁固刑を受けた場合でも滞在は可能です(犯罪の内容により異なる場合があります)。
しかし、一度海外へ出てしまうと(例 帰省、親戚の葬式)再入国できなくなるので注意が必要です。
5 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者
いわゆるクスリで捕まった場合ですね。
この場合は1年以上の懲役などの規定がなく、刑が確定するだけで上陸拒否事由となります。
5の2 国際的規模若しくはこれに準ずる規模で開催される競技会若しくは国際的規模で開催される会議(以下「国際競技会等」という。)の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもって、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したことにより、日本国若しくは日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられ、又は出入国管理及び難民認定法の規定により本邦からの退去を強制され、若しくは日本国以外の国の法令の規定によりその国から退去させられた者であって、本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもって、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市にあつては、区又は総合区)の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊するおそれのあるもの
フーリガンなどの人・集団を想定して定められた規定です。
刑を受けたり、退去させらりした人はもちろん、その惧れがある人も対象になっています。
6 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)に定める麻薬若しくは向精神薬、大麻取締法(昭和23年法律第124号)に定める大麻、あへん法(昭和29年法律第71号)に定めるけし、あへん若しくはけしがら、覚せい剤取締法(昭和26年法律第252号)に定める覚せい剤若しくは覚せい剤原料又はあへん煙を吸食する器具を不法に所持する者
クスリやそれを使用する器具を不法に所持している人も上陸できません。
7 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事したことのある者(人身取引等により他人の支配下に置かれていた者が当該業務に従事した場合を除く。)
売春を斡旋するような人も上陸できません。
7の2 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者
8 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)に定める銃砲若しくは刀剣類又は火薬類取締法(昭和25年法律第149号)に定める火薬類を不法に所持する者
9 次のイからニまでに掲げる者で、それぞれ当該イからニまでに定める期間を経過していないもの
イ 第六号又は前号の規定に該当して上陸を拒否された者 拒否された日から1年
クスリの不法所持、銃砲刀剣類(ピストル・ナイフなど)の不法所持で上陸を拒否された人は、その日から1年間は上陸できません。
ロ 第24条各号(第4号オからヨまで及び第4号の3を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者で、その退去の日前に本邦からの退去を強制されたこと及び第55条の3第1項の規定による出国命令により出国したことのないもの 退去した日から5年
退去強制事由(第24条)により実際に退去させられた人は、その日から5年間上陸できません。
ハ 第24条各号(第4号オからヨまで及び第4号の3を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者(ロに掲げる者を除く。) 退去した日から10年
いわゆるリピーターに対する規定です。過去にも退去を強制されたことのある人は10年間上陸できません。
ニ 第55条の3第1項の規定による出国命令により出国した者 出国した日から1年
第55条の3第1項(出国命令制度)を利用して退去した人は1年間上陸できません。
出国命令制度とは、不法残留者のうち一定の要件を満たす者について、通常の退去強制手続きによらず身柄の収容をしないまま簡易な手続きで出国させるという制度です。
詳しくはこちらをどうぞ
9の2 別表第1の上欄の在留資格をもって本邦に在留している間に刑法(明治40年法律第45号)第2編第12章、第16章から第19章まで、第23章、第26章、第27章、第31章、第33章、第36章、第37章若しくは第39章の罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)第1条、第1条ノ2若しくは第1条ノ3(刑法第222条又は第261条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和5年法律第9号)の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律(平成15年法律第65号)第15条若しくは第16条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年法律第86号)第2条若しくは第6条第1項の罪により懲役又は禁錮に処する判決の宣告を受けた者で、その後出国して本邦外にある間にその判決が確定し、確定の日から5年を経過していないもの
別表第1の在留資格の外国人が対象です。
別表はこちら
こちらの規定は判決確定時に日本に滞在していない場合を想定しています。
日本に滞在していれば第24条(退去事由)に該当しますが、滞在していなければ該当しません。また、上陸拒否事由にも該当しなければ再上陸が可能となってしまいます。
しかし、この規定によって判決確定時にすでに日本に滞在していない場合でも、判決の確定した日から5年間は日本に上陸できません。
注意が必要なのは、この規定は上記で述べたように別表第2の「永住者」「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」「定住者」の人は対象ではありません。
10 第24条第4号オからヨまでのいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者
11 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者
12 次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者
イ 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体
ロ 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体
ハ 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体
13 第11号又は前号に規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示することを企てる者
14 前各号に掲げる者を除くほか、法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
10号から14号では、主に反政府などの政治活動を行う人等を対象にしています。
これらの活動を行ったりまたは企てたり(企てようと)する人は日本に上陸することが出来ません。
2 法務大臣は、本邦に上陸しようとする外国人が前項各号のいずれにも該当しない場合でも、その者の国籍又は市民権の属する国が同項各号以外の事由により日本人の上陸を拒否するときは、同一の事由により当該外国人の上陸を拒否することができる。
法務大臣は、その外国人の所属する国等が上記の事由以外で日本人の上陸を拒否する時は、その拒否事由でその外国人の上陸を拒否することが出来ます。
これを相互主義といいます。
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